今回は、本会傘下の常陸牛指定生産者が丹精込めて飼育した黒毛和種の中から50頭を厳選して開催しました。また、新型コロナは第5類に移行し人の流れも回復してきておりますが、東京食肉市場では以前のように多くの方が集まるまでに戻っておらず、残念ながら今年度も褒賞式等については中止することとなり枝肉審査とセリ販売のみの開催となりました。
満場一致の名誉賞牛
出品牛の内訳は去勢46頭・雌4頭、平均出荷月齢は30.3か月齢でした。出品牛のうち49頭が常陸牛に認定され、上物率98%・5等級率88%は前年同様でありましたが、極上・特撰クラスといわれるBMS(霜降りの多さ)No.10以上が37頭、うち肉質最高位のBMSNo.12も17頭(ともに過去最多)とハイレベルな枝肉が突出した共励会となりました。
そのため審査は難航しましたが、名誉賞には八千代町の古沢畜産(写真1・2)、最優秀賞には筑西市の栗原幹夫氏の出品牛が選出されました。名誉賞牛は体型が良く迫力もあり満遍なく霜降り(サシ)の入った素晴らしい枝肉としてほぼ満場一致での選出となりました。最優秀賞も残念ながら瑕疵により次点となりましたが、それがなければ全国規模の共励会でも一、二を争うような枝肉であったとの講評をいただきました。また、今後の方向性を重視した本会独自の褒賞である「推奨牛」においては、購買者ニーズとして体型・資質・キメ等を重視して良質牛選定が行われました。入賞牛の成績については、表のとおりです。
左は斉藤会長
褒賞 | 市町村名 /出品者 |
性別 | 父×2代祖×3代祖 | 枝肉重量 (kg) |
BMSNo. | (cm2) |
(cm) |
単価 (円) |
売上金額 (円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
八千代町 古沢畜産 |
福之姫×安福久×北国7の8 | 578 | 12 | 96 | 9.2 | 3,158 | 1,825,324 | ||
最優秀賞 | 筑西市 栗原 幹夫 |
去勢 | 茂福久×美国桜×喜亀忠 | 645 | 12 | 136 | 9.6 | 3,053 | 1,969,185 |
優秀賞1席 | 常総市 佐藤 宏弥 |
雌 | 福之姫×諒太郎×安福久 | 448 | 12 | 66 | 6.5 | 3,004 | 1,345,792 |
優秀賞2席 | 鉾田市 (株)茨畜連PF鉾田牧場 |
去勢 | 福之姫×安福久×百合茂 | 604 | 12 | 126 | 9.0 | 2,802 | 1,692,408 |
優秀賞 | 鉾田市 (株)茨畜連PF鉾田牧場 |
去勢 | 福大勝×美国桜×喜亀忠 | 580 | 12 | 105 | 9.8 | 2,908 | 1,686,640 |
〃 | 常総市 佐藤 宏弥 |
去勢 | 北国関7×安福久×百合茂 | 526 | 12 | 95 | 9.2 | 3,003 | 1,579,578 |
〃 | 鉾田市 (株)茨畜連PF鉾田牧場 |
去勢 | 福之姫×安福久×勝忠平 | 569 | 12 | 78 | 8.6 | 2,696 | 1,534,024 |
〃 | 古河市 宇都木 孝浩 |
去勢 | 第1花国×安福久×平茂勝 | 600 | 12 | 84 | 9.9 | 2,687 | 1,612,200 |
〃 | 鉾田市 (株)茨畜連PF鉾田牧場 |
去勢 | 福之姫×美国桜×勝忠平 | 572 | 12 | 92 | 10.3 | 2,799 | 1,601,028 |
〃 | 笠間市 設楽 俊夫 |
去勢 | 夜桜×安福久×忠富士 | 685 | 12 | 97 | 11.3 | 2,771 | 1,898,135 |
推奨牛 |
常総市 大場 和也 |
去勢 | 安福久×平茂勝×北国7の8 | 492 | 9 | 74 | 7.9 | 2,403 | 1,182,276 |
〃 (体型) | 水戸市 𠮷成 邦雄 |
去勢 | 若百合×平茂晴×勝忠平 | 619 | 7 | 70 | 8.9 | 2,023 | 1,252,237 |
常陸牛の新ブランド「煌(きらめき)」の創設
出品50頭の全体成績においては、平均枝肉重量が552kg(去勢562kg・雌434kg)と大型化しているだけでなく、平均BMS10.3およびロース芯84.4cm2(ともに過去最高)と肉質良好な枝肉が揃った点も評価され平均販売金額も137万円と高値の取引につながりました。
現在は、物価高騰の影響で牛肉消費の冷え込みが深刻となりコロナ禍よりも相場が低迷する状況が続いております。また、配合飼料価格においてもウクライナ情勢や為替の影響等により前年同様に高止まりの状況です。これら肥育農家の経営圧迫は子牛価格にも影響し、繁殖農家までも厳しい経営状況となっております。本会としては、飼養管理技術の向上や一貫経営化等の取り組みを進め、各生産者がこの難局を乗り切れるようにさらなる努力を続けてまいります。
本県銘柄牛「常陸牛」は、出荷頭数が3年連続で1万頭の大台を超えました。販売指定店・推奨店は570店舗・海外推奨店も37店舗と増加し輸出量も回復してきております。そのような中、さらなる常陸牛のブランド力向上と他銘柄との差別化を図るため、茨城県常陸牛振興協会では、新ブランド「常陸牛 煌」を新たに発表しました。「常陸牛 煌」は、県内で一貫した生産を行う「茨城生まれ・茨城育ち」に加え、和牛ならではの美味しさにこだわり「オレイン酸」や「小ザシ」など全国初となる認定基準に基づき厳選されています。今後、広くトップブランドとして全国的に認知されるようになり、生産者の目標・励みとなることを期待しております。
和牛の脂やオリーブオイルに多く含まれるオレイン酸は、コレステロール減少・病気や老化の原因となる酸化の抑制・血圧降下等の効果が確認されており、牛肉は体に良いとされるオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸を効率的に摂取できる食品でもあります。消費者の皆様にも、安心・安全・美味しく・健康にも良い「常陸牛」をたくさん食べていただきたいと願っております。
最後になりましたが、本共励会を開催するにあたってご協力いただいた関係機関の皆様、審査いただいた諸先生方、出品された生産者の皆様に、心よりお礼を申し上げます。